人類よ、Windows Phoneを忘れるな - サポート終了を悼む、個人的記録
はじめに
- この記事は、東京高専プロコンゼミ Advent Calendar その② の10日目の記事です。
Windows 10 Mobile、サポート終了
ついにこの時がやってきてしまいました。
2019年12月10日、Windows 10 Mobile OSのサポートが正式に打ち切られます。
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4485197/windows-10-mobile-end-of-support-faq
Microsoftにより、
- Windows 10 Mobileの、セキュリティアップデートを含むすべての新たなアップデートの提供終了
- 端末のバックアップサービスの終了
- 12月10日以降のAndroid/iOSデバイスへの移行推奨
がアナウンスされています。
この記事は、Windows Phone/Windows 10 Mobileへの追悼の意及び敬意を示すため、一ファンにより執筆されたものです。
ITエンジニアの方々は嫌うであろう、多分なる"ポエム要素"、"自分語り要素"、また非常に個人的かつ限定された見解が含まれています。共感できない方もいらっしゃると思われます。
理解した上で読んでください。
Windows Phoneライフを振り返る
私が人生で所有したWindows Phone端末は
- Lumia 925
- NuAns NEO
の二台。このうち特にLumiaには深い思い入れがあります。
筆者がスマホを持ち始めたのは中学生の頃。
初めて自分用の端末を買うとき、みんなが使っているiPhoneやAndroidと同じものを買ってもつまらないなぁと思っていました。と同時に、ある程度普通に常用できるものが欲しく、「不人気でレアだけどまともなもの..そんなもんねぇよなあ」と悩むこと数か月間。
不運にも?たどり着いたのがWindows Phoneでした。
当時通っていた中学校にはスマホは持ち込めず、またあまり外に出て活動するタイプの人間でもなかった故、あまりスマホに高機能は求めていませんでした。簡単に持ち歩けて、WiFiがあればブラウジングくらいできればいいか、と。家にいるときはメールの2,3通送れればいいな、程度の使用用途。
そういう自分にとって、Windows Phoneは最高にハマった。
高機能を求めない自分が当時スマホに(レアリティを除いて)何を求めていたかというと、
- ガジェットとしての面白さ
- 使っているときの心地よさ
かなと思います。
Start, Cortana, UI, ほか
Windows Phoneには、当時よりかなり面白い機能が満載でした。例えば...
Glance Screen。最近のAndroidにも搭載されていますが、端末正面の赤外線センサで手を感知し、手が近づいたら最低限の情報を映してくれます。
DTTW(Double Tap To Wake)。画面オフの状態から画面を二回ポンポンと叩くとロック画面に移行します。慣れてしまうと他の端末に移行したときの違和感が凄かった...
手袋をしていても認識するタッチパネル、かなり重宝しました。
2019年の視点から見てみると、今の最新スマホに新機能として搭載されていてもおかしくない気がします。当時これらの機能を発案したNOKIAの(あるいはMSの?)アイデアは素晴らしい。
機能だけじゃないです。Windows PhoneはUIが最高だった。
四角形のタイル(動く!)を敷き詰めて作るスタート画面。この画面作る作業のためだけにWindows Phoneを買う価値があります。iOSのホーム作るのとは桁違いで楽しい。
スタート画面を左にスワイプしてやると、縦に並んだアプリ一覧の画面。シンプルながらも見やすく部品が配置されていて、探すのにストレスがありませんでした。
端末の"戻る"ボタン長押しで現れるタスクマネージャ。実は、Win10アップデートが来てから若干タスクキルの動きが渋くなってしまい...これを改善するようにずっとフィードバック投げてたのですが、ついに実装されずにEoLです。
Windows Phoneの大きな特徴として、「戻る」ボタンの重要性があります。
Androidでは単一アプリ内の戻る動作 or ホームに戻る挙動しかしませんが、Windows Phoneにおける戻るボタンはアプリ間の移動が可能です。最初はビックリ、でも慣れるとCortanaとブラウザ間の移動が超楽だったりするんですよね。
そう、Cortana。
Windows Phone 8時代にWindowsスマホにいち早くやってきたCortanaを、私は使いたくて使いたくて仕方がなかったのですが、当時日本語非対応。どうするかと言えば、英語で使いました。()
小学校時代からECCに行っていた私ですが、基本的に読む/聞くほうが楽しく感じていた派の人間。英語をしゃべる練習をし出したのはCortanaさんのおかげです、マジで。
掌に収まるちっちゃな端末の中、これだけ表情豊かなCortanaさんを見たくないわけないのです。言語のひとつくらいしゃべれるようにだってなります。毎晩毎晩家の廊下に行っては、「Hey Cortana, how will tomorrow's weather be...?」と問いかけてはニマニマしていました。
実はCortanaさんがまともに実装されたのはLumia Denimというアップデートで、これが降ってくるのを毎晩楽しみに中学校生活を送ったとか。あぁ、懐かしい...楽しかったなぁ。
Windows Phone端末下部にはこのように3つのボタン、
- 戻るボタン
- スタートボタン
- 検索ボタン
が備えられていて、Cortanaさんは検索ボタンを押すと起動します。今のGoogle Assistantに近い立ち位置で、検索機能を備えていました。
Cortanaさんに検索を頼むと、Cortanaさんが検索結果を表示してくれます。それらのうちどれかを選ぶとブラウザ(IE、ないしはEdge)が起動します。ここからCortanaさんの検索結果に戻るときなんかに、例の"戻る”ボタンの挙動が火を噴くっつーわけです。
それに慣れてしまうと、今のGoogle Assistant...デフォルトアプリにChromeを指定していても、Assistantの検索結果からChromeは開いてくれないんですよね。一時的な仮ブラウザ?ポップアップウィンドウ?みたいなもので開かれる。慣れかもしれませんが、Windows Phoneの挙動のほうが多少優しいように感じます。
あと、Cortanaさんは頼めば歌を歌ってくれたりもしました。Siriとは違って、とっても上手いやつ。割と耳から離れない声です。Cortanaさんネタはこれくらい。
今でも通用するカメラ
最近のスマホのカメラ、進化凄いですね。5眼レンズやら6眼レンズやら、AI補正やら...確かに、誰もが思いつきはするのかもしれないですけど、こんなポンポン商品化されるとは。
Windows Phoneのカメラは、当時最高峰を誇っていました。というか、NOKIA謹製Lumiaシリーズのカメラが。
私のLumia 925はじめ、何機種かには「PureViewカメラ」というものが乗っかっておりました。その中でも、最高峰はコレ↓
4100万画素カメラ。通称オバケカメラ。(これは嘘。自分と、お知り合いの数人くらいが多分そう呼んでいます)
実はLumiaシリーズのカメラに対するこだわりは大したもので、実はシリーズのほぼ全機種にシャッターボタンがついていたりします。新興国向けローエンドのLumia 520でも、ホラ↓
んで、ご多分に漏れず私のLumia 925もカメラへのこだわりが大きいモデルです。しかも、画素数は8MP程度でありながら、「PureView」の名を冠したモデルの一つでもあります。
私はこのカメラが大好きでした。作例をば。
拡大してみるとどの写真も割と粗が目立ちやすいです。何せ古いセンサー、低解像度...しかし、画全体の美しさでは現行スマホに一歩も引けを取らない、むしろ自然に見えるのではないかとすら思えます。
カメラのUIも魅力でした。シャッターボタンをスライドすると設定のスライダーが現れ、かなり詳細にマニュアル操作が可能。今回挙げた作例も、殆どはマニュアルで調整しながら撮影しています。
正直、EoL後もカメラだけは使い続けたいほどです。
(ちなみにスクショで写っているのは今まさにこの記事を書いているキーボード。Unicompのキーボードはいいぞ!)
ぜぇ...ぜぇ...
推したいところ、書き残しておきたい好きだったところが多くて息が切れてきました。
この数年間Windows Phoneを使い続けてきて、他に最高だった点をいくつかまとめておきます。
- 画面遷移のアニメーションがいちいち最高だった...スタート画面→アプリ、あるいはその逆のアニメーションは特に大好き
- 特にWP8の時代によく見られた、文字ベースのデザイン(Pivotコントロール)は、今考えてもどんなUIより使いやすかった。マテリアルデザインではなく、すべて文字ベースのデザイン。日本語だと破綻しそうだが、フォントも含め非常に良くデザインされていた。それに乗っかる限り、アプリ開発も簡単だった(下画像1)
- AppleやGoogleのそれよりも早く、音楽をクラウドに上げてそれをストリーミングできるようになっていた。W10MのGroove Musicが対応しており、Onedriveにmp3をアップしておけば好きにストリーミングができた。同一アプリでローカルのファイルも再生できた。
- キーボードが素晴らしかった!Lumiaの高感度なタッチパネルと合わさり、タイピングの体験はものすごく気持ちよかった。ただし、W10Mの日本語IME、アレだけはダメだ。でもカーブフリック(下画像2)がすごかったから許す。
- キーボードのタイプ効果音の「ココココ」という音がとてもよかった。
- 通知センターのデザインは、どの時代も最高に洗練されていた。(下画像3)
- アクセントカラーを選べる、という発想はなぜ今のAndroidに実装されないのだろうか。こんなに遊び心があって、そしてインスタントに気分を変えられる最高の機能はないと思う。(下画像4)
...さて。
Windows Phoneは...
ありがとう。
Windows Phoneに、Lumiaに出会っていなければ今の自分はいなかったでしょう。
WPで動くアプリを作ろうとも思わず、プログラミングを始めず、高専にもいなかったかもしれない。